本学では、起業マインドを持った人材を育成し、地域の活性化と山形県の課題解決に寄与する人材を育成することを目的に「山形県寄附講座 起業マインド育成講座」を設置し、今年度から新科目「アントレプレナーシップ演習」を開講しています。
秋学期授業9回目の12月11日(水)は、総務省自治行政局行政課兼行政経営支援室 課長補佐の阿部辰雄氏に授業を行っていただきました。
はじめに、奈良県十津川村と神奈川県横浜市の人口や面積、予算を比較し「なにもかも違うエリアだが、どこでも同じ行政サービスを提供するのが“地方行政”。また行政サービスの大部分は地方行政が担っている」と話しました。阿部氏は「今では基本的な行政サービスは“当たり前”として暮らしのなかに浸透したが、70年前の戦後復興の時代にはこれらのサービスは“当たり前ではなかった”」と話し、「国民が最小限受けるサービスが充足していることを『ナショナルミニマム』が達成されている状況」と語りました。
続いてナショナルミニマムが達成された現代の地方行政の課題として考えている「持続性の確保(少子高齢化による社会保障費や介護費が拡大。税収入減など)」「多様化への対応(感染症や災害の激甚化、今後発生が懸念される大規模地震への対応)」「個人の多様化(様々な性自認の方や働き方の多様化)」について説明しました。さらに4つ目として「担い手や手法の多様化」をあげ、新しい公共空間の考え方を紹介。「行政が民間に業務を委託するアウトソーシングのほか、現代はCSR(企業の社会責任)という考え方が広がり、企業も社会貢献することが多くなっている。公共的な動きだが、行政とは関係ない意思の流れで行う公共も増えてきている。住民のニーズの多様化に対応するために非常に期待されている」と話しました。
このあとは、行政とスタートアップが連携した事例を紹介し「今後どのような分野で民間活力を活用していくか」についてディスカッションしました。
アントレプレナーシップ演習は、次回以降もさまざまな外部講師をお迎えして、学生たちに話をしていただきます。今後の授業がますます楽しみです!